上映日時●5月25日(土)10:15●6月1日(土)19:20

【ストーリー&解説】
愛は言葉より多くを語る。中国南方の片田舎で、素性の知れぬ西洋人が一糸まとわぬ姿で発見された。地元の警察から病院へ連れて行かれるが、彼は何も話そうとしない。医師は匙を投げ、病院職員のジアンが付き添うようになる。やがて彼が精神病院へ移されると知り、ジアンは彼を連れ出して叔父の住む村にかくまう。その村でジアンは、ひょんなことから彼の閉ざされた過去をとく鍵となる、ある秘密を知ることになる。
日常に起こる些細な出来事を丹念に積み重ね、繊細な作品を撮り上げるサイモン監督の最新作。サイモン監督の長編デビュー作はAQFF2009で「僕は小さく恋をする」のタイトルで上映。

【監督プロフィール:Simon Chun】
トロントのヨーク大学で映画制作を学んだのち香港に戻り、地元のTV映画業界の様々なポジションで仕事をする。1990年代半ばから撮りはじめた自主映画は、国内外の映画祭で上映され、受賞作品も多い。長編デビュー作品「Innocent」(2005年、第2回AQFFで日本初上映)は香港国際映画祭でプレミア上映後、シンガポール国際映画祭、テッサロニキ国際映画祭で上映され、2005年のトロント・リールアジアン国際映画祭NFB最優秀カナダ映画賞を受賞。ベルリン国際映画祭でワールドプレミアを飾った2作目「End of Love」(2009年)はアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、オーストラリア、香港など世界各地で劇場公開された。本作は2012年3月、ロンドン・ゲイ&レズビアン映画祭でプレミア上映。

【監督の言葉】
本作は中国辺境の小さな町が舞台となる。この小さな世界に現れたのがフランス人の交換留学生ルーク。ルークはキャンパスライフではありふれた恋の戯れにうつつを抜かすが、この彼の純朴さが悲劇的な結末を生み出す。多くの中国人にとって、欧米は今も自由を意味する―何かから自由になるのか、自由になるための何かか、それは人それぞれだが。ルークに恋する2人の登場人物にとって、西洋人は自分というちっぽけな存在から抜け出すチャンスを意味していた。しかし今日、この時代に、逃げ道などあるかどうかは果たして謎だ。