上映日時●6月2日(日)17:05(ゲスト登壇予定)

【このプログラムについて】
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イ=ソン・ヒイル監督の最新作である中編2作、長編1作から成る3部作を一挙上映する特別プログラム。ゲイであることをカミングアウトした韓国初の映画監督、イ=ソン・ヒイル。韓国のゲイ解放運動の先駆けとなった短編「シュガー・ヒル」や、インディーズ映画としては異例の大ヒットを記録した初長編「後悔なんてしない」(第1回AQFFで日本初上映)などを監督。今作は高校教師と生徒の駆け引きを描いた「あの夏、突然に」、兵役中の青年と元指導官との秘密に迫った「南へ」、2011年に起きたホモフォビア暴行事件を元に作られた「白夜」の3話で構成されている。
1.「あの夏、突然に」●Suddenly, Last Summer●37分
2.「南へ」●Going South●45分
3.「白夜」●White Night●75分

【「あの夏、突然に」ストーリー】
ある夏の週末、高校教師キュンフンは生徒の家庭訪問に出かけようとしている。太陽が照りつけ、二日酔いも収まらず、めまいがするような午後。さらに最悪なことに彼の家の前には、いつもと同様、担当クラスの生徒サンウがいる。彼はここのところキュンフンを追いかけ回しているのだ。今日は特にキュンフンに近づくため、サンウは写真で脅迫しようとしていた。その写真には、2人が偶然会ったバーで撮影したキュンフンの姿が写っている。サンウの要求は1日一緒に過ごすこと。果たしてキュンフンは、彼の隠された欲望を駆り立てるサンウの誘惑に勝てるのだろうか?

【「南へ」ストーリー】
ギテは陸軍基地に戻る前に、既に兵役を終えた、かつての指導官ジュンヨンを捜し出す。しかし、露骨に嫌な顔をされ二度と訪ねて来るなと言われてしまう。ジュンヨンを見るギテの目つきが次第に普段とは変わってくる。その後すぐ、彼は睡眠薬を入れたコーヒーをジュンヨンに差し出す。車を止め運転席を奪ったギテは、Uターンし基地とは反対方向の南の地へと向かう。吐き気に襲われ目覚めたジュンヨンは、かつての部下に罵りの言葉を浴びせる。2人の複雑に絡んだ秘密がゆっくりと解き明かされていく…。

【「白夜」ストーリー】
客室乗務員のウォンギュは、辛い思い出のあるソウルに2年ぶりに戻る。ネット上で知り合ったテジュンと会い、2人は特別な夜を過ごす。しかしその場所はウォンギュの最悪の思い出の場所だった…。

【監督プロフィール:LeeSong Hee-Il】
1971年韓国生まれのイ=ソン・ヒイル監督は、インディペンデント・フィルム・ソサイエティで映画制作を学び、1995年から2000年までにインディペンデント・フィルム・グループ"Youth Film"で数多くの短編を撮った。「シュガー・ヒル」(2000年)や「グッドロマンス」 (2001年)などの短編は、韓国内外の数々の映画祭に招待され、2006年には初の長編「後悔なんてしない」(第1回AQFFで日本初上映)でディレクターズカット・アワーズの最優秀インディペンデント監督賞を受賞。第57回ベルリン国際映画祭にも招待された。ベルリン映画祭2回目の出品作となる「白夜」は、2012年制作の3部作のうちの1本。監督はその見事な手腕で、登場人物たちの物語を通じて韓国の最も深刻な社会問題を映し出している。

【「あの夏、突然に」監督の言葉】
私は、人がそれぞれの自分のステージで、どのように自分自身を演じるかを観察していたい。

【「南へ」監督の言葉】
"ロマンチックなムード"というものは、ホモセクシュアルの間ではよく起こる。ロマンチックな一瞬と結びつくと決まり事のように起こるものである。特に兵役中の男性達の間には多い。また、異性愛と同性愛の境界線の壊れやすさと同じように、もろいものでもある。この映画を通じて、私は疑問を投げかけたい。人間の感情は、きっちりと窓もカギも閉めた部屋に閉じ込めておけるようなものというのは本当だろうか?これは、いわゆるストレートの人たちへの質問である。

【「白夜」監督の言葉】
ある難民が強制的に国外追放される一方で、別の難民はかすかな希望を抱いて主張を訴え続ける。韓国は未だそのような矛盾が存在する国だ。ある冬の夜の物語を通じて、私自身も問いかけたかった。