上映日時●5月24日(金)18:50(ゲスト登壇予定)●6月1日(土)17:10

【ストーリー&解説】
もう若くはないトランスジェンダーのサーイターンは、旅先の美しいタイ北部でバイクの修理をして働く青年ファイと恋に落ちる。サーイターンは、ファイが彼女の過去ではなく心の中を見てくれることを願っていたが…。父親のショーパブを相続したトンマイは、アメリカから故郷のタイにやって来た。トンマイはバーを閉めるつもりだったが、従業員からバーの存続を求められ…。高校生のディンは父親に僧院へ連れていかれる。ディンの女性的な振る舞いを心配した父親が、僧侶になれば治るのではないかと期待したからだ。ところがディンは指導係の僧侶に恋をしてしまい…。
本作は、3人の登場人物がたどる心の旅と愛の物語である。この世には、他人から教えられた常識を信じる人もいれば、自分なりの真理を探す人もいる。自分なりの愛を探し当てたとき、その愛を否定できるだろうか?タイのホアヒン国際映画祭2012で上映され観客賞を獲得。また南アフリカのケープワインランド映画祭ではコンペティション部門に選出された。

【監督プロフィール:Tanwarin Sukkhapisit】
1973年10月23日、タイのコラート生まれ。コーンケン大学ではフランス語と英語を専攻。ニックネームはゴルフである。高校生の頃から演じることに情熱を見いだし、友人を集めて演劇やダンスに取り組んでいた。1998年、タイのテレビ局TV3が放送したテレビシリーズ「Chai Mai Jing Ying Tae」に出演したことで、本格的に演技の道に進むことになる。この番組では異性の格好をした役で、主要登場人物の1人を演じた。番組はヒットしたが、ゲイの登場人物が若い視聴者に悪い影響を及ぼすとして論争が起こり、政府がテレビにゲイを登場させることを禁止する事態となった。そこで監督は才能を発揮する新たな方法として映画監督を選び、2001年に初の短編映画「Ring」を発表。その後も演技指導、脚本執筆、監督としていくつかの作品に関わり、2010年「Insects in the Backyard」で長編映画の監督デビューを果たした。この作品では主演も兼ねている。「Insects in the Backyard」は父殺しと売春への言及が含まれるとして、タイの検閲機関から上映を禁止された。その一方で、2010年のバンクーバー国際映画祭やバンコク国際映画祭で評価され、監督自身も招かれて映画における人権や、ゲイの登場人物について話す機会を得る。その後「Tai Hong」(2010) や「Hug Na Sarakham」(2011)など人気作を発表するにつれ、タイで勢いのある監督の1人として認められた。2011年にはAmfineプロダクションを共同設立。その第1作として本作を制作し、タイのバンコクで2012年2月14日に公開した。この作品では有名な女優がトランスジェンダーを演じることで、世の中の多様性について、人々の意識を刺激することに成功している。現在、タイ映画監督協会の会長を務めており、タイの映画製作者に活動の場を生み出し、観客にはさまざまなジャンルの映画を提供するなど、タイの映画産業を発展させるために力を注いでいる。